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んです。それで、演奏連盟さんの方で、例えば3ヵ月ぐらいのスパンの中で、金沢、静岡でやる公演は交通費安い、北海道、沖縄での公演は高いということのないような形で何かやっていただけるような動きがあるのか、また、これからもこういう状態が続いていくのか、その辺はどうなんでしょうか。
○草刈 
それはそのときの交渉事なんだと思うんですけれども、ただ、オーケストラの場合は非常に問題点があるんです。それは何かというと、滞在費というのは、宿泊して、滞在、食べる、それにかかる費用が当然滞在費でなければいけないわけなんですけれども、オーケストラのような組織では、自治体や会社なんかもそうでしょうけれども、出張旅費規程があって、出張旅費規程に従って旅費を各楽員個人に支払っている場合が多いのです。そして旅費規定の内容は当然、労働組合の交渉事項になっていますので、旅費というのが給与の一部として考えられている習慣が昔からあるんです。
某一流オケの場合、よくそれを言われて、僕らも間に入って非常に困るんですが、日本の一流の楽員が集まっているのだからグリーン車でなければ行かないんだということをおっしゃるわけです。もちろんそれはそれだけのプライドがあって当然でちっとも構わないので、そういうふうに申し上げるんですが、実際問題として、現地へ行ってみますと、グリーン車から降りてこないで、普通車から降りてくるという人がいるんですね。これはおかしいじゃないかということを言われるんです。ですけれども、これは旅費規程がグリーン車になっているんですよね。ですから、団として旅費を支給するときにはその額を支給していて、業務命令は何時に現地集合になっているのです。
そういうことで、実際と違うという点が確かにあるということは言えると思います。これはやはり今の世の中ではとてもおかしなことなんですが、交通機関を全部主催者の方で用意するというようなケースが、オーケストラの場合は大体成り立たないんです。例えば割合近いところでも、仮に東京−静岡でも、バスを仕立てますからそれに乗ってきてくださいというようなことは、オーケストラでは通用しないんですよ。これは悪習だと思いますけれども、そういうことがいまだに残っていることは事実です。
劇団なんかに関しては、月給制をとっている劇団というのは、我が国ではまだ割と少ないですから、そういう点では、多分そういった経費に関しても、実際のものが支払われているということがあるので、むしろオーケストラに比べたら安く感じるということがあるのかもしれません。確かにそういうことをどこかで調整しなければいけないので、演奏連盟なんかも確かにそういった機関の1つなので、今後考えていきたいとは思うんですが、

 

 

 

 

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